「不登校」と向きあって
〜学校へ行かないお子さんを持つお家の方へ〜
「なんで、どうしてうちの子どもが・・・?」
ある日突然、学校に行かれなくなったお子さんを前にして、
お家の方としたらそう思わずにはいられないでしょうね。
私もそうでした。
仕事上、「学校に行かない」選択をしたお子さんを見てきました。
けれども、自分の子どもがそういう状態になるとは、思いもよりませんでした。
「お母さん、今日、休んでいい?」
初めのうちは、それほど重く感じていませんでした。
「このくらいなら大丈夫だよ、具合悪くなったら保健室に行きなよ。」
そんなふうにあまり気にせずに送り出していました。
けれども、寝る時間がだんだん遅くなり、黙りこくることが増え、
なんだか変だなぁ、と思いはじめていたのも事実でした。
学校の個別懇談では、特に変わった様子もないとのことでしたけれど。
冬休みが終わって3学期の始業式、朝起きてこないので起こしに行くと、
「お母さん、学校に行きたくない。休みたい。」
半分無意識の状態でそういってぼろぼろ涙を流していました。
「これはおかしい、普通の様子じゃない。」
そう思ってその日は仕事を休んで付き添い、病院に連れて行きました。
「ややうつ状態だと思われます。」
その報告をしに学校に行くと、担任の先生が、
「授業中よく机に伏せっていることがあって、寝不足かと思って気にはなっていたんですが、
”うつ”だったんですか・・・。」
!!なぜ、気になっていたら個別懇談会の時に言ってくれなかったのでしょう!!
いえ、それよりもどうして母親の私が、もっと早くに気づいてやれなかったのでしょう!!
一番はじめに出てきたのは、息子がこんな状態になるまで
何もしてやれなかった自分や学校を「責める気持」でした。
それからは、朝になると意識がもうろうとしながら
「学校に行きたくない・・。」
と大粒の涙を流して泣く息子に何もしてやれない自分を責め、
夜になると「一人では眠れない、そばにいてくれ」と
悲しそうにすがりつく息子と話をしながら涙をこらえる毎日でした。
外に出たがらない息子を病院に連れて行くのは一苦労でした。
そうかと思うと、夜の夜中になって「どっかに行きたい」と言い出すので、
普通は眠る時間である10時、11時から0時過ぎまで、
時には泣き、時には生気が無く、時には眠れないで悩む息子を乗せてドライブしました。
昼間は自分の仕事、夜は息子のために時間を使い、息子が寝てからまた自分の仕事をし、
自分自身も寝不足と、緊張と、仕事の遅れる焦りとでいっぱいいっぱいでした。
そんな毎日で思うことは、「私はいったいどうすればいいのだろう」でした。
いろいろな人に相談し、いろいろ本も読んで、
息子が元気になりそうなことは何でもやってみました。
心の奥では、息子が元のように元気になるだろうとは信じているけれど、
それがいったいいつのことになるかは見当もつかないのです。
心の病気はつらいです。
傷口はだんだんふさがっていく様がわかるし、
風邪は、咳や鼻水が減っていくから治っていくのがわかります。
でも、「心」は目で見えるものではないのです。
自分の心のアンテナを最大限にして、
息子のちょっとした仕草や顔色、声色、言葉遣い・・・
そんなすべてのことから心の動きまでもとらえなければわかりません。
「学校」に期待するのはやめました。
私も学校に勤める人間です。
たくさんの生徒を相手にしている毎日では、
たった一人、心が縮こまっている自分の子どもを
いつでも見ていてくださいなんて
無理なこともわかるからです。
学校や、学校の先生や、友達だけに期待するのは、
実際とても苦しくなるばかりでした。
でも、どこかに道は絶対に開けていくはずです。
今もまだ、学校に完全に復帰していない息子を持つ母親として、
同じように悩む親御さん達へ(特にお母さん)、
私なりに発信できるメッセージは、これだけです。
お母さん。自分を責めるのはやめましょう。
一人で頑張るのもやめましょう。
お父さんに相談して二人で考えれば、肩の荷は半分になります。
お母さんが元気がなくなると、お子さんの元気もなくなりますよ。
お母さんだって、息抜きは必要です。
自分の気晴らしになることをやって元気になりましょう。
そしてまた、誰かを責めたり、期待しすぎるのもやめましょう。
責めても疲れた心はいやされません。
期待しすぎるとうまくいかない時の絶望も大きくなります。
お子さんはきっと元気になります。そう信じて前を向きましょう。
次のページにも書きますが、
「なぜそうなったか」をつきとめるよりも、
「どうしたら元気になるか」を考える方がずっと近道な気がします。
どうしたら元気になるのか、その方法はいっぱいあります。
あせらず、自分の子どもにあった方法を、そこから見つけていきましょう。
それを見つけられるのは、この世で一番自分の子どものことを知っている、
お母さん、お父さんだけなんですもの。
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