「うつ」と向きあって
〜その5「うつ」の状態 Lv.3〜

ひとつ作品が完成すると、もっと上手にもっと描きたくなった。
そうして描きためた絵を、自分のホームページにアップして、
恥ずかしいけど、パソコン通信を通して知り合ったネット仲間たちに見てもらった。

「これ、キレイだね」「ここはもっとこうしたら?」
様々なアドバイスをもらって、さらにうまく描けるように、
CGのテクニックの載った本を買いに外に連れて行ってもらった。

病気になって以来、病院以外で、初めて近くの本屋に行ったのだ。

雑踏は苦しかった。胸が詰まって頭がふらふらし、地面は揺れているように感じた。
主人の腕や背中にすがりつきながらようやく買い物をして
家にたどり着くだけで精一杯だった。

そうして買ってきた本を見ながらまた絵を描く。
そのうち、もっともっと参考の本が欲しくなった。
苦しかったけど、自分で欲しいものを選ぶしかないから、また連れて行ってもらった。

しかし、買い物もままならないそんな状態で療休の2週間の期日が近づいてきていたので、
今のままではまだ無理でしょうとお医者さんはさらに期日を伸ばしてくれた。

そのうち、私の状態を知ったネット仲間の友達が、
「みんなのところに気晴らしに遊びに来ない?」と誘ってくれた。

「まだ、人混みがだめだから行かれないよ。
電車にも怖くて乗れないし、歩くのもふらふらなんだよ・・・。」

「じゃぁ、車で迎えに行くさ。2〜3時間もあれば行くんだから。」
そう言った
友達は、ほんとに迎えに来てくれた。
びっくりする私を乗せて、他の友達の待つ関東へゆっくりと車を走らせた。

関東へ向かう道すがら、友達は
「うつなんてだいじょぶさ、気持ちを楽にしてさ、

人に迷惑とか、申し訳ないとか、そんな風に思わずに、
せっかく神様がここで休めって言ってくれてるんだから、
今しかできないこと、いろいろやってみたら?」
そんな話をしてくれた。

「そうか・・・これはチャンスなのか・・・。」
「今しかできないことって何だろう、何かあるのかな。」
そう考え始めたら、なんだかとても気持ちが軽くなった気がした。

○自分をどんどん絵で表現したいと思うようになった。
△食事は少しずつなら食べられるようになったが、作る方はまだだめ。
×朝、起きられず、寝付きも悪く、薬服用。
×外出が怖くてどこかにつかまっていないと地面がぐらぐらする感じ。
×車の運転などはもってのほか。
○「自分のやりたいこと」を考える、前向きな気持ちが出てきた。
○友達とは、話ができるようになった。

東京では、たくさんの友達が励ましに来てくれたが、
人混みが苦しくて途中で喫茶店で休みながら泣き出してしまった。
けれど、友達の言葉は私の中の何かを変えてくれた。

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