「うつ」と向きあって
〜その8「うつ」を越えて Lv.6〜

声楽のレッスンを重ね、自分の声に自信が持ててきて、
英語のレッスンでの勉強も楽しかったし、
パソコンで自分の気持ちを絵で表現した作品も増えて、
京都の静かな自然と語らって、
うつになる前と全然変わらぬつきあいをしてくれる友がいて、
いつの間にやら食事もきちんと食べられるようになって、
それらのことを応援しながら状態にあった薬をくれるお医者さんがいて、

そして、何より「自分を治したい」と私が思うままに動くことを
認めてくれる家族がいて・・・。

やっと私は「私自身」を取り戻していた。
ここに来るまでに、ほぼ1年半が過ぎていた。

あとの、最後の問題は、「職場への復帰」だった。

「元気は出てきた、人混みも怖くなくなった。
でも、職場にもどって、前のように元気に働けるのだろうか。」

いまだに、途中で仕事ができなくなった事への負い目や、
他の人たちの自分への気持ちがどうなのか、
前と同じように働けるのか・・・。

そこで、主人と相談し、主人が職場に話してくれて、
療休中だけど仕事に通ってみることにした。
もちろん、立場は「療休中」だから、代替の人も一緒にいる。
途中で調子が悪くなっても、朝の具合が悪くて起きられなくても、
その時はその時で休むことはできる。

次のようなステップで、職場への復帰をしていった。

はじめは、休みの日に、職場まで(主人に)連れて行ってもらった。
主人に付き添ってもらいながら、休みの日の職場を歩き回ってみた。
代替の人と一緒に、午前中だけ仕事をした。
1日朝から勤務時間終了まで、ほかの人と同じように仕事をした。
2ヶ月続けてやれそうだ、と思えたので完全復帰を決意した。

久しぶりに職場に足を踏み入れてから、2ヶ月かかった。

療休を終えて、復帰させてもらうためには、
かなりいろいろな手続きをふまなければならなかった。

けれどそれさえも、復帰できる嬉しさから面倒とは思わなかった。

うつの薬は、まだ飲み続けなさい、と言われた。
確かに、仕事を始めると落ち込むこともたくさんあったから、
前みたいにならないように薬はそのあとも2年間飲み続けた。

「もう大丈夫だ、私は自分の仕事に誇りを持っている。」

そう思えるようになった時、薬を飲むことも忘れるようになり、
飲まなくても平気な自分を見いだすことができた。

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