INTERMEZZO8:お役所仕事と現場裁量(2)

ところが、いつの間にか……最近は「決まり」があり「慣例」があって、そこからはみ出すことがいけないことになってきていて、「オレが責任持つから」という「上の人」がいなくなり、現場の物は上の人が出す指示や命令が絶対になり、それを守れないと責任とるのは現場の者。せめられるのも現場の者。

責任はどこにあるのか?といったら「現場に即した指示ができない上の者」にあるように思うのですけれど、そこには誰も言及しません……出来ないんですよね。

「お役所仕事」という言葉があります。
これは、「お役所とかお役人さんは決まり事以外のことはやらない」という個人裁量のなさを非難した言葉のように思うのですが、実は現代の社会って、お役所に限らず、会社でも、学校でも、社会全体でこの「お役所仕事」が蔓延していたように思うのです。

最初にあげた支援物資の話。それから実際に当日のライブで「寄付を募ろう!」って思ったけれど「個人でそういう事をされては困る」というひと言でその話も進まなくなりました。すべてが「こういう決まりだから」「こういうルートでやってもらわないと困るから」という理由からのことなんです。

さらに、Twitterなどでいろいろな発言を見ていますけれど、そういう中でも同じような現象は起きています。「不謹慎」発言や「偽善者」発言ははその最たるものじゃないかと思います。

こういう事態に陥ったら、被害にあって大変な人がいるから楽しいことは不謹慎だ。旅行なんてとんでもない。笑いなんてとんでもない。そんな発言は不謹慎だ!……「不謹慎」というルールが人を支配してしまうのです。そのルールからはみ出す人は「悪者」であり「あってはいけないもの」なのです。

逆に、こう言うときに自分のことのように必死で応援したり様々な行動をしている人に対して「偽善者」呼ばわりをする者もでてきました。かっこつけ、いい子ぶり、目立ちたいから……。「偽善者」という枠にはまる者は、たとえ相手がそんなつもりじゃなくてもその人にとっては「偽善者」になってしまう。

でも、ちょっと考え直してください。

「決まりだから」
「上がこう言っているから」
「不謹慎だから」
「偽善だから」

○○だから……という言葉のその○○に入る言葉を決めたのは誰でしょう?そしてその○○という言葉は、一体誰のためにあるのでしょうか?

決まり。ルール。上司の命令。
そういうものは「人がより良くあるため」に発するものであるはずです。
そして、人が発するものである限り「誤り」だってあるのです。

単に今までの慣習だから、常識だから、自分がこう信じてきたから。
そんなものに左右されたものがたくさんあるんです。

人は、人である限り「絶対」なんて不可能ですから当然「過ち」はあるはず。かつて「個人裁量」「現場裁量」がちゃんと認められたのは、こういうことがわかっていたからでした。決まりがあったって、現場では何が起こっているのかわからないから、決まり通りに行かないこともある。常識だと思っていたこと、大丈夫だと思っていたことが崩れることも絶対にある。(今回の原発のことに関してもそうですよね。「絶対に安全」という事はない。地震の規模が「想定外」であったことも、また人の常識でははかりきれないことでした。)

そういう「ありえないこと」に出くわしたとき。
決まりや常識では動かせないもの、救えないもの、抗えないものがでてきます。

○○だから……では太刀打ちできないことがまだまだたくさんあるはずなんです。

〜(3)へ続く


graphics8.nytimes.comより

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PROFILE

駒村みどり
【すまいるコーディネーター】

音楽活動(指導・演奏)、カウンセリングや学習指導、うつ病や不登校についての理解を深める活動、長野県の地域おこし・文化・アート活動の取材などを軸に、人の心を大切にし人と人とを繋ぎ拡げる活動を展開中。

信州あそびの学園 代表

Twitter:komacafe 
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  信州あそびの学園

facebook:Midori Komamura
     信州あそびの学園
笑顔をつなぐスマイルコーディネーター

アメブロ:【うつのくれた贈り物】


WebマガジンNgene特派員
(長野県の文化、教育、地域活性化などに関わる活動・人の取材)
【羅針盤】プロジェクトリーダー。

詳細は【PRPFILE】駒村みどりに記載。

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