「しまった!」……何か失敗をしたとき、まず頭に浮かぶのは……
1*失敗をつくろう(もしくはごまかす)ためのいいわけ
2*この先に対しての不安や危機感
3*フォローの方法
4*失敗の原因さがし
5*現実逃避
6*真っ白になって何も考えられない
7*決定的失敗とわかるまでギリギリ何とかしようと考える
8*過去の失敗の苦い思い出
9*その他(何かユニークな解答があったら教えてください)
………さぁ、あなたはどれでしょうか?
無論、その失敗の質や量によっても違うでしょうが、いずれの解答にせよ、すべてに「イメージ」が作用していることはおわかりだと思います。
こういう「とっさの時」に働くイメージが貧困だと、5や6のパターンになってその先に進めなくなる状態が起きます。過去に失敗で痛い目にあったりトラウマになっていたりすると、そこには「悪いイメージ」が大きく作用しますから2や8……また、そこから逃げようと1になってしまうことになるでしょう。4になると、この失敗を突き詰めて新しいイメージへ結びつける材料探しという少し前向きのイメージの働きになり、それがさらに進むと3の「フォローして挽回」に向かうプラス思考のイメージになります。7の場合には同じ状態を「失敗」というイメージでは捉えていません。場合によっては、その状態を逆手にとってしまうことも可能かもしれません。
さて、あなたはこれを見た時に、「自分はどうありたい」と思いましたか?
……かつての私は、6番のタイプでした。
あ、しまった!そう思った瞬間に、頭が真っ白になって固まってしまいました。ピアノの発表会などでは、ステージに登る前から「失敗したらどうしよう」「間違えるかもしれない」と……マイナスのイメージにとらわれて、実際にステージに登ってその通りの状態にはまってしまうことが多々ありました。つまり、失敗する前にすでに「失敗のイメージ」に支配されてしまっていたのです。
自分のマイナスのイメージに支配される状態がわかったとき……「失敗の原因」がその前の「失敗のイメージ」にあることがわかってみると、失敗したくないときほどこの「失敗のイメージ」が大きくなってくることに気が付きました。どうでもいい、結果を気にしないことだとうまくいくのです。いつも通りにだと出来るのは、普段は失敗も成功も気にしないでいるからです。
この状態は、子ども達の「テスト」の時にも大きく現れてきます。
たいていの子どもはテストの前にものすごく緊張します。それは、その結果が「自分の将来」に影響するというイメージがインプットされていること、それからその点数の善し悪しでお父さんお母さんの態度が変わることを経験してきているので、「悪い点は許されない」という危機感に襲われること……などが理由です。
実際にテストに向かうと、そういう緊張感から勉強したはずのことがどこかに消えてなくなってしまったり、日頃は出来ていた計算をミスしたり……という「失敗」が起こり、結果、「思うような成績にならなかった」ことによってまたまた学校の先生やお家の人から「もっと頑張りなさい」と注意されます。
その「悪いイメージのループ」によって、子ども達は「自分は頭が悪い」というイメージを持ち、「テストは出来ない」という暗示にかかっていってしまうのです。
実際、私が家庭教師として指導に当たるお子さんのうちのほとんどは、この「親の叱咤激励」と「親の不安」から家庭教師を……と望まれてつくのですが、そういうお子さんはまた、ほとんどが「自分は勉強がだめ」というマイナスのイメージにとらわれているのです。
実際に一緒に勉強をはじめると、本当に「だめ」な子はほとんどいません。
計算がまったく出来ないわけではなく、英語の教科書をまったく読めないわけでもありません。むしろ、「このくらい出来ているのに、なんでこの点?」と思うお子さんがとても多いのです。
そういうお子さんたちを伸ばすのにやること。
それは「実力点」を出してやることです。
1,本当にまったくわからなくて出来なかった問題。
2,ちょっとしたミスで書き損なってしまっただけの問題。
1については、家庭教師でしっかりやり方や考え方を教えます。けれど2の方は……本来は出来たはずの「わかっている」問題。無論テスト終了後に「これ、わかってました」と言われても先生も困ってしまうけど……。
ちょっとした計算間違いや漢字のミス。記述上の問題……やり方がわかっているにもかかわらず、そういうものによる「減点」は意外と大きいものです。
(2に続く)