INTERMEZZO8:お役所仕事と現場裁量(1)

先日、住んでいる町のイベントがありました。
そこに関わって出た話です。

私は、バンド活動でこのイベントに参加することになっていたので、イベント前の二日間、練習をしました。その時にこの震災の話になったのですが……。バンドのボーカルの人が支援物資を持って行ったときの話をしてくれました。

「乾電池をオークションで500コ落として持って行ったんだよ。市で集めていたのに合わせて。で、そのうち1つのパッケージだけ袋があいてたんだ。でも明らかに使ってないってわかる状態だったんだけどね、集めていたひとに言われたんだよ、“新品じゃなくちゃ困ります”って。」

この「新品限定」っていうのも何とも困ったルールだと思ったのです。
実は、私もこの災害に関して支援物資を家にある物で間に合うのだったらかき集めて持って行こうと思ったのです。娘とその情報をもらいに役場に行く途中のラジオでその募集の話をしていました。

やっぱり「新品に限る」とのアナウンス。それから他にも、個々にバラバラに持ってくるのは困るので箱単位、とかでも「購入してまで持ってこないでください」とか、指定した物以外はダメ、とか……。

「ああ…それじゃ無理」と思って娘とあきらめました。

正直、家もそんなに余裕のある生活しているわけじゃありません。だから家に「買い置きしてある物」で「新品」で「まとまった量のある」モノなんか無いんです。毛布も子どもたちが小さい頃使った保育園のおひるね用の小さいのとか、そんな物しかないんです。

新品を……と言われたら、やっぱり買いに行くしかない。
で、ふと思ったのがこのあたりのスーパーでそういう物が品薄になっているという話。もしかしたら買ってでも支援しようとまとめ買いした人のいるのじゃないのだろうか………と。

確かに、支援物資は不要品集めと違いますから、気持ちよく使ってもらえるモノを集めたいということもわかります。でも「新品」に拘る必要はあるのでしょうか?大切なのは「今すぐに必要な物が使える形で届く」事なんじゃないのでしょうか?

現場からは「足りない」の声が上がっていて。余裕のある地域の者は「なんとか届けたい」と思い。

だけど届けるためには個々で受け付けていないのだからお役所に頼るしかない現実。
一つでも多く、一刻も早くに物を届けたいという思いから家にある物で「使える物」を持ち寄りたいという想いがこの「新品に限る」というひと言でさえぎられてしまうんですよね。

確かに、電池なんかはシールはがしてしまうと使えない物かどうかもわからないし、そうして持ち込まれた「不要品」を処分する手間を考えれば「新品に限る」はとてもよくわかるんです。だから今回はそれも仕方ないのかもしれません。

その上で、ひとこと日頃思っていたことを添えたいのです。

かつては、「現場裁量」とか「個人裁量」という言葉がごく自然に行われていました。ある程度の立場にある人、上司、そういう人たちからは「オレが責任持つから思うようにやれ」という言葉を聞くことが多かったのです。

そういう「信頼」を受けた方はまた、その信頼と期待を裏切れませんから「自分に責任」を持って行動しました。

お互いに、自分の行ったこと、自分の信頼、そういう物すべてに自分で責任を持って行動していました。だからその中でもし、失敗があっても人のせいにはしなかったし、自分で何とかしようと頑張りました。責任持ち、信頼しあった者同士で物事を一生懸命に解決していきました。

そこにあるのは人間の温かさ。人の心のこもった行動。
だから、もし、失敗があったとしてもその人を責めるよりはみんなで何とかしようと考えてやって来た……。

(2)へ続く

Photo : Midori Komamura

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PROFILE

駒村みどり
【すまいるコーディネーター】

音楽活動(指導・演奏)、カウンセリングや学習指導、うつ病や不登校についての理解を深める活動、長野県の地域おこし・文化・アート活動の取材などを軸に、人の心を大切にし人と人とを繋ぎ拡げる活動を展開中。

信州あそびの学園 代表

Twitter:komacafe 
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  信州あそびの学園

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笑顔をつなぐスマイルコーディネーター

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WebマガジンNgene特派員
(長野県の文化、教育、地域活性化などに関わる活動・人の取材)
【羅針盤】プロジェクトリーダー。

詳細は【PRPFILE】駒村みどりに記載。

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