2010年 11月 19日

ところが今、人々は自分の生活に追われています。生きることが精一杯でこの「イメージ」を働かせる機能がかなり劣化しています。

無力な子供に対してのイメージが働かないから虐待が起き、友だちの痛みをイメージできないからいじめが起きる。汗をして働く人の頑張りや、その先の喜びをイメージできないから盗み、横領し、それをごまかして闇に葬ろうとする。人の命を奪うこと、それがどんな悲しみや痛みを伴うことなのかのイメージが出来ないからその手を止めることができない……。

「空気を読む」という状態も、「イメージが出来ない」から起こることです。
その場の状況、人の様子、そういう「表面的な部分」を見てただそれに「自分を合わせる」だけ。それが「空気を読む」行動。けれど、もうちょっと深くイメージしてみればその行動が端から見たら単なる茶番劇でしかない、ということに気が付くことでしょう。

実は、そこにいる人達はみんなお互いの行動を見て合わせているだけなのかもしれない……そういう「イメージ」をしながら観察してみる。そういうイメージを持ってみると人の行動に隠れている「想い」が見えてくる。それが見えたら、その場で自分はどうあったらいいのかがちゃんとわかってくる。この茶番につきあって無駄な時間を過ごすのか。それとも自分と同じように「茶番」につきあっている人間を見つけて「本当の楽しさ」を一緒に見つけるのか。

実は、じっくり観察し、確かなイメージが出来たら「その場の茶番」をコントロールして「本当に楽しかった」とその場の人々をうならせる状態に持っていくことだってできるのです。

今の社会で起きている様々な問題。現象。そのすべてを引き起こしているのが「イメージの欠如」なのだという点ではみんな同じ根っこの上に立っています。だから、容易に人にコントロールされてしまうのです。目の前の茶番や、見た目の楽しさだけに合わせて右へならえとイメージを働かせないからずるずると引き込まれ、やがてイメージする力さえも失って、結果ベルトコンベアーに乗せられたような生活しかできなくなってしまうのです。

つまり、それは「プログラムされた生活をこなすだけ」の状態。そしてそれは「機械」でも出来ること。言いかえれば「イメージできない人間」は「ロボット」のような機械に等しい、ということになるのです。人が人でなくなり、誰かのプログラムに従って動くだけの社会。体温を持ち血の流れるロボットがうごめく社会……。

(マニュアル化された客への受け答えしかしない電話対応・窓口対応やコンビニの店員などのオウム返しのような感情のない言葉から、それに近いものを感じたことはありませんか?)

テレビや新聞から「与えられる」ニュースをそのままうのみにし、もしかしたらそれが「操作された情報」かもしれないのに「真実」と受けとめて、そこに生み出された「悪者」を皆で口をそろえて批判する。昨今の政治情勢の中にも、それらしいことがたくさん隠されているように思います。

そうして、もしかしたら実は「操作」されていることに気が付かないまま、「自分たちで考える」事をしないまま、「コントロールされた社会」の中で自分自身は何も見ない、何も感じないで「作られた平和」の上で何事もないように暮らし続ける。

私たちの社会は今、イメージ力を育てないことでそこにどんどん近づきつつあるのです。もうすでにそれに気がつけない状態に陥ってしまっているのです。

イメージ力の欠如。
今の社会の問題のほとんどの一番の原因は、そこにあったのです。

逆説を唱えると。
「正しいイメージ力」がちゃんと育っていけば、今の社会は当然ちゃんと立ち直ることができるのです。

Photo : Midori Komamura

私は、1960年に生まれました。

1960年というのは今思うとひとつの転換期だったように思います。
第二次世界大戦の傷跡が癒え「高度成長」に向かって日本中が元気を取り戻しつつあった。「戦後」と「現代」とのチェンジの年だったように思います。

日本に古くからあるものの色がまだ色濃く残っている時代。
けれど、そこから先どんどん入ってくる「新しいもの」。

古いもの、新しいもの、それぞれに良いものもあれば悪しき者もある。
けれど、ここからあと、日本はどんどん「新しい」=「良い」というイメージの中にはまっていってしまったように思います。

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私は、歴史をながめるのが大好きです。
歴史の中で、日本がどんな流れを創り出し、どんな動きをし、そして今に至ってきたのか……。どんな過ちをし、それにどんな対応をして今があるのか。

その中に「真実」があります。
その中に「答え」があります。

古きものの良きも悪しきも感じつつ、新しいものの利点も弊害も感じつつ。
今年の12月で私は半世紀を生きた事になります。

そこで見えてきたもの、感じたものはものすごく膨大な「データ」です。
このデータをもとに、今の世の中をながめていると、日本の人々はもとから持っていたものすごく大切な「宝物」を今、見失っているように思えるのです。

みんなちゃんと持っているのに。
すばらしい宝物を。

どんな宝も、しまったままで磨かないでいたら朽ちるだけです。
自分の周りの人々が、自分の周りの世の中が、そうしてせっかくすばらしい宝物を持っていながらその価値に気が付かないままに朽ちて落ちていくのが口惜しいのです。

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日本の社会は、ちゃんと生きています。
けれど、見えない事、見えなくなっている事、見なくなっている事が余りに多すぎて、せっかくの「宝物」が今、あちこちで忘れ去られ見捨てられ、どんどん朽ち果てて行く状態にあります。

早くみんなで気が付かないと。
早くみんなで見つけ出さないと。
早くみんなで磨いてやらないと。

大切な宝物がどんどんと失われていってしまうのです。

あなたの中にもちゃんとある、その宝物。
あなたの周りにもたくさんある、その宝物。

あなた自身が持っているそれを、私と一緒に探し出して一緒に磨きませんか?

大地から掘り出した、何の変哲もない炭素やケイ素の固まりも。
カットするとこの世の物とも思えない輝きを放って人々を魅了します。
「ダイヤモンド」のような宝石の原石のような宝物は……
探せばあなたの周りにいっぱい今、眠っているのです。

掘り起こすのはあなたです。
探し出すのはあなたです。

このブログに何らかのイメージを感じて立ち止まったあなた。
ここに何かを感じる事が出来たあなた。

そんなあなたにだからこそ出来る事、
あなたにしか出来ない事
……なのです。

Photo : Midori Komamura

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PROFILE

駒村みどり
【すまいるコーディネーター】

音楽活動(指導・演奏)、カウンセリングや学習指導、うつ病や不登校についての理解を深める活動、長野県の地域おこし・文化・アート活動の取材などを軸に、人の心を大切にし人と人とを繋ぎ拡げる活動を展開中。

信州あそびの学園 代表

Twitter:komacafe 
HP:コマちゃんのティールーム
  信州あそびの学園

facebook:Midori Komamura
     信州あそびの学園
笑顔をつなぐスマイルコーディネーター

アメブロ:【うつのくれた贈り物】


WebマガジンNgene特派員
(長野県の文化、教育、地域活性化などに関わる活動・人の取材)
【羅針盤】プロジェクトリーダー。

詳細は【PRPFILE】駒村みどりに記載。

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