2010年 11月 28日

今、世の中ではいろいろな出来事が起こっています。様々な事件はまさしく社会の「病気」で、その病気を治すために、たとえば決まりや罰則のような「薬」だけで社会は癒されるでしょうか。本当の意味で、社会が元気になるにはどうしたらいい?そのために必要なものは何?

その「本質=真実/Truth」を見つけ出し、決まりや罰則のような「薬」の効果を最大限発揮するためには、「何がこの社会に本当に必要なものなのか」を考え、「どうしたらこの様々な事件や出来事を前進の力に結びつけるのか」と考え、もっというと「よりよい終末」のためにいかに「よりよい生」を全うするのか、を考え(イメージして)行くことなのではないでしょうか。

See the whole world anew each day. Ah, the truth is, you’re well on the way.
/ すべての世界をいつも新しい視点で見てごらん、そこには真実があり、あなたはそこに近づける。

「新しい視点で見直す」ための力。それが「イメージする力」であり、今の現実や今の社会に潜む目の前の「直面する問題」だけに囚われているところから抜け出すために必要なのが、その向こう側を見る力……つまり「イメージする力」なのです。

The Power To See Invisible Things.(目に見えないものを見る力)

それが「イメージする力」。
そして、それが、「現実と真実とを結びつける力」。

「プラスのイメージ」は人に与えられるのを待っているだけではつかめません。前節で述べたように、今の世の中では「マイナスのイメージ」の方がずっと氾濫しているから。

では、どうしたら「プラスのイメージ」を得て真実に近づくことが出来るのか。自分がよい方向に向かうイメージをつかめるのか。

それには、この「目に見えないものを見る力」を自らでつけることです。自らが真実を見つける力を身につける事ができれば、人から「プラスのイメージ」を与えられなくても自分で「イメージ」することができるようになります。そうすることで自分だけでなく、自分の周りにもそのイメージは広がり、それが拡がれば、さらにより強い「プラスのイメージ」を生み出せるものが増えていき、そうしてプラスのイメージ同士がつながって拡がっていったら……やがて、そのイメージこそが「真実」になるのです。

「見えないものを見る力」をつけることは、決して難しいことではありません。
ただ、毎日の生活で、いろいろな物事に向かい合った時、心に一つの言葉を唱え続ければいいのです。

「これでいいのだろうか?このままでもいいのだろうか?いや、もっとよい答えがあるはずだ。」

疑うのではなく、真実を探し続けるのです。何がそこにあるのかを探るのをやめないことです。
それは今すぐ、誰にでも……あなたにも出来ることです。
そうして求め続けていくことによって、やがて「真実」は自分からその姿を示すようになるのです。

patch

Photo : Midori Komamura

(PATCH ADAMS : 1998 Universal Studios.)

6 「イメージ」はつなげる力。(1)

「パッチ・アダムス」という映画があります。その映画の中にこんなシーンが出てきます。

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( Patchの手をとり、指を4本立てさせて語りかける。)

Arthur
How many (fingers) do you see?
/この指は何本に見える?

Patch
(There are) four fingers, Arthur.
/ 4本です。

Arthur
No, no, no, no. Look at me.
/ 違う違う。私を見るんだ。
You’re focusing on the problem. / 君は問題にフォーカスしすぎている。
If you focus on the problem, you can’t see the solution.
/ 問題にとらわれると、解決策を見つけることはできない。
Never focus on the problem! Look at me! How many do you see?
/ 問題にとらわれてはいけない!”私を”見るんだ! 何本に見える?

(指の向こうで語りかけるArthurを見つめると、指がぼやけて二重に見えてくる。)

Patch
Eight.
/ ……8本です。

Arthur
Eight! Eight! Yes, yes! Eight’s Good answer!
/ 8本!そうだ8本が正解だ!
Yes! See what no one else sees. / そうだ!誰もが見ないものを見るんだ。
See what everyone chooses not to see…out of fear, conformity or laziness.
/ 恐れや既成概念や怠惰などから人々が見ようとしないものを見るんだ。
See the whole world anew each day. Ah, the truth is, you’re well on the way.
/ 世界を新しい視点で見直せば、そこに真実がある。君にはそれができる。

(PATCH ADAMS : 1998 Universal Studios.)

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この映画は、実話に基づくものです。
「パッチ・アダムス」というのは今現在活躍している医者の名前。彼は、若い頃に自殺未遂を繰り返し、精神病院に自ら志願して入院。彼の本名は「ハンター・アダムス」ですが、その彼がこの風変わりな質問を投げかけた老人とのこのやりとりの中で、自分に与えられた「天命」を見いだし、そして医者、それも「心を癒す医者(patchするもの)」を目指して生まれ変わっていくきっかけを得た映画の最も重要なシーン。

このシーンは「イメージする事」の大切さをもまた、表現しているように思います。

「見えないものを見る力」つまり、イメージする事が出来る力を持ったら。「目の前にある問題」に囚われることなく見つめることが出来たら……そこには「Truth/真実」が見えるのです。

人は生きている。これはまぎれもない真実。
「パッチ・アダムス」という医者は、「人は生きて、いずれはまた土に返る」という真実の中で「病気を治す」というその根本にあるものを見つめ続け、「よりよく生きること」が「よりよい死」へと結びつくことを感じ、死の床にある病人でさえも「癒す」事が出来ることを証明し続けます。それは「病気を治す」という目の前の問題に囚われ過ぎることから解放され、「よりよい生」というイメージと、「よりよい死」というイメージの世界を結びつけることによるものなのです。

病気を治すために薬を求めることや、その薬を開発すること自体を否定するものではありません。現実問題として「病気の治療」に薬は不可欠なもの。けれど、そういう「目の前の問題」に囚われすぎて「なぜ薬が必要なのか」という本質を見失ってしまっては意味がないのです。

パッチの医療も薬を否定しません。むしろ彼の行為の意味は「薬の効果」を高めることにあります。

「人を癒す」というその行為にとっては、まず現実の病巣の駆逐や感染の予防や、治癒の力の補助という意味での薬の果たす役割は大きいし、それに関しての知識を持った医者や薬剤師、看護婦の役割も大きいけれど、その最終の目的は、病気に打ち勝ち、患者が元気になることであって病気が消えることではありません。病気に勝とうとする患者の意志、患者の気持ちという内的な条件がそこにあって、はじめて薬は最大の意味を持つものになり、最大の効果を発揮するのです。

この「薬」をたとえば「規則」や「伝統」に置き換えてみたら、と、ちょっとイメージしてみてください。

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Photo : Midori Komamura

(PATCH ADAMS : 1998 Universal Studios.)

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PROFILE

駒村みどり
【すまいるコーディネーター】

音楽活動(指導・演奏)、カウンセリングや学習指導、うつ病や不登校についての理解を深める活動、長野県の地域おこし・文化・アート活動の取材などを軸に、人の心を大切にし人と人とを繋ぎ拡げる活動を展開中。

信州あそびの学園 代表

Twitter:komacafe 
HP:コマちゃんのティールーム
  信州あそびの学園

facebook:Midori Komamura
     信州あそびの学園
笑顔をつなぐスマイルコーディネーター

アメブロ:【うつのくれた贈り物】


WebマガジンNgene特派員
(長野県の文化、教育、地域活性化などに関わる活動・人の取材)
【羅針盤】プロジェクトリーダー。

詳細は【PRPFILE】駒村みどりに記載。

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